総 論 :寺田一薫
都市交通の歴史を知る方法
都市の形と交通の歴史
都市公共交通史の概観
(1)路面電車以前
(2)路面電車の出現
(3)バスの運行
(4)郊外鉄道と地下鉄
(5)車の抑制と公共交通の再生
第1章
ニューヨーク:青木 亮
ニューヨーク市の発展
馬車鉄道の開業
圧搾空気鉄道の試み
高架鉄道の開業
地下鉄の建設
第2章
ロンドン :中村実男
はじめに
19世紀における都市成長と公共交通機関の発達
(1)概説
(2)乗合馬車の登場と発達
(3)幹線鉄道のロンドン乗り入れ
(4)地下鉄の誕生
(5)鉄道馬車と労働者
20世紀前半における交通市場の競争と統合
(1)概説
(2)蒸気地下鉄からチューブ式地下鉄へ
(3)拡大する地下鉄網
(4)バスと路面電車の登場
(5)地下鉄グループの発展
(6)「浪費的競争」と交通政策の展開
(7)ロンドン旅客運輸公社の成立
第2次大戦後の交通問題と解決への模索
(1)概説
(2)交通運営組織の変遷
(3)ロンドン・トランスポートの経営
(4)道路混雑対策の展開
(5)地下鉄投資問題
第3章
パリ :北河大次郎
はじめに
幹線鉄道―終着駅の立地
(1)都市の中心か周縁か
(3)接続
メトロ
(1)はじめに
(2) 国と市の論争
(3)迷走の15年
(4)市の勝利
(5)メトロの建設
郊外鉄道―地域高速鉄道網
(1)メトロの郊外延長
(2)パリ圏の建設と新たな鉄道網
(3)RERの歴史的意義
第4章
ベルリン :青木真美
鉄道以前のベルリン周辺の歴史
(1)ベルリンの起源とプロイセンの成立
(2)プロイセン王国の発展とベルリンの拡張
ベルリンの公共交通の発達―第2次世界大戦終了まで
(1)鉄道以前の公共交通
(2)ベルリンにおける鉄道の発展―長距離鉄道と近郊鉄道
(3)ベルリンにおける鉄道の発展―高架鉄道と地下鉄
(4)戦間期のベルリンの鉄道網
第2次世界大戦後のベルリンの鉄道網
(1)敗戦と分断
(2)ベルリンの壁構築後
東西ドイツの再統合とベルリンの都市交通
(1)壁の崩壊と東西ドイツの再統合
(2)首都移転とブランデンブルク州との統合問題
(3)ベルリンの鉄道整備計画―Sバーン
(4)ベルリンの鉄道整備計画―地下鉄・路面電車
(5)Sバーンのもたらす構造的な制約
第5章
モスクワ :岡田 譲
はじめに
スターリン独裁の時代―都市交通の黎明(1840~1953年)
鉄道馬車の時代/地下鉄の建設(第1期)/「地下宮殿」の誕生/「モスクワの貌」の建造/地下鉄の建設(第2期)/環状線の建設
フルシチョフ時代―大量生産方式の誕生(1953~64年)
ブレジネフ時代―見せかけの文化(1964~82年)
ゴルバチョフ時代―自由化の中で(1985~91年)
ポストペレストロイカの時代―機能主義の方向へ(1991年以降)
おわりに
第6章
上海 :山田俊明
誇りとほろ苦さ
近代都市上海の誕生
公共交通の萌芽
路面電車の開業
トロリーバスの登場
国民政府樹立後の上海の公共交通
日本軍の侵攻と上海支配の下で
「解放」後の上海と路面電車の消滅
成長軌道を走り出した上海
地下鉄の開業と延伸
軌道交通による郊外の都市化
疾走する上海
第7章
ソウル ;藤田崇義
はじめに―アジアの大都市の中のソウル
都市計画体系の変化
(1)経済開発以前
(2)経済開発時代
開発経済体制/第1期地下鉄の導入/首都圏電鉄の発展/第2期地下鉄の形成
(3)経済開発以後
日本との比較からみたソウルの都市交通
(1)環状線の機能
(2)急行運転と通勤距離・時間
(3)ターミナル駅と郊外駅の周辺
現代的課題
(1)自立的経営
(2)交通需要管理
(3)ソウルの改革を支えた裏方達
おわりに―トップダウン式都市計画の今後
第8章
大阪 :三木理史
はじめに
水都・大坂の成立
陸運への移行
キタとミナミの成立
鉄道と通勤・通学
巡航船と市電の開業
市営モンロー主義
「陸都」への変貌
阪神電気鉄道の開業
郊外電車の増加
「高速鉄道」計画の胎動
国有鉄道の電車化と客貨分離
都市鉄道の平準化と戦時体制
バスの登場と競合
調整から統制へ
復興から経済成長へ
審議会体制と市営主義
おわりに
第9章
東京 :老川慶喜
はじめに
東京馬車鉄道の設立と経営
(1)東京馬車鉄道の設立
(2)東京馬車鉄道の経営
東京市街鉄道の設立と東京馬車鉄道の電化
(1)藤岡市助と電気鉄道の出願
(2)東京市街鉄道の設立
(3)東京馬車鉄道の電車化
東京鉄道の設立と市有化
(1)東京鉄道の成立
(2)市街鉄道市有論の再燃と東京鉄道
(3)東京鉄道の市有化
おわりに
補論
東京の都市交通―1911~2011年:和久田康雄
都市と都市圏の発達
幹線鉄道の近郊輸送
私鉄と地下鉄
路面交通その他
メトロについての蛇足的一章―あとがきに代えて:小池 滋