改訂普及版 人類進化大全—進化の実像と発掘・分析のすべて
【著】クリス・ストリンガー、ピーター・アンドリュース
【訳】馬場悠男・道方しのぶ
定価=本体5,800円+税
B5判 フルカラー240ページ(ソフトカバー)
2012年7月発売
ISBN 978-4-903487-55-7
✣日本図書館協会選定図書
サルからヒトへ―人類はどのように進化したのか?
新たな化石の発見や、科学的分析手法を駆使した古人類学の研究成果を、最前線で世界をリードする著者が克明に解説。調査研究プロセスをまじえ、貴重な写真やイラストを満載した人類学の新基本書に、その後の新発見による最新の成果を反映させ、ハンディな新装版に。
【主な改訂】
2009年に復元され、人類起源の年代設定を遡らせた「ラミダス猿人」のほか、現生人類につながるホモ属の祖先とされる「アウストラロピテクス・セディバ」(2008年発見)、ゲノムプロジェクトによる旧人と現代人との比較分析など、重要な新事実を収録。
※2008年発売の『ビジュアル版 人類進化大全ー進化の実像と発掘・分析のすべて』の改訂版です。判型は同じですが、ソフトカバーになり、定価を見直しました。
ハードカバー版の詳細はこちら…
…ロンドン自然史博物館が世界に誇る超一級の人類学研究者2人が、長年にわたる経験を凝集して作った、かなり玄人好みの図鑑である。
人類進化をわかりやすく紹介するだけでなく、人類進化の調査・研究プロセスを、豊富なイラストや写真を用いて丁寧に説明している。そこに、現場経験の豊富な著者たちのプライドとこだわりがある。
彼らが体験した(指揮したものも多い)6つの発掘調査は、類人猿や人類の進化研究に貴重な資料を数多く産出してきた。その具体的な有り様を知ることは、一般読者にとっても専門家にとっても贅沢な楽しみといえよう。私もはじめて知って驚いたことが多かった。…
私たちにとって最も関心があるのは、ホモ・サピエンスの由来だろう。…出アフリカモデルを化石の証拠から明らかにする中心となったのが、ストリンガーである。貧しかった大学院生時代に、ぼろ車で野宿しながらヨーロッパ中をまわって化石を研究し、ネアンデルタール人とクロマニヨン人では形態が根本的に違うことを示した。…
ともすればヴァーチャルな映像世界で満足している子供や若者たちに、現実の世界で汗とほこりにまみれながら夢を追いかけている研究者たちの存在を知ってもらいたい。
彼らの努力があって初めて、人類進化のそれぞれの局面が少しずつ明らかになり、それらを紡ぐことで、私たち人類の生い立ちを語ることができる。さらに、現実世界の外群としての人類進化を学ぶことによって得られる長い照準は、現在の私たちが未来に向かって何をなすべきかを判断するために、大いに役立つだろう。
変動する環境に果敢に立ち向かって、今日まで生き延びた私たち人類、その進化の如実な姿を見ていただきたい。
(あとがきより)
【著者】
クリス・ストリンガー(Chris Stringer)
ロンドン自然史博物館古生物研究部人類進化研究室、現役名誉研究官。有名な「単一起源モデル」を提示し、現在多くの考古学者、年代測定技術者、遺伝学者とともに人類進化のモデル再構築をめざし数々の共同研究を主催している。著書に『出アフリカ記 人類の起源』(岩波書店)、Homo britannicusなど多数。
ピーター・アンドリュース(Peter Andrews)
ロンドン自然史博物館古生物研究部(人類進化研究室)、元研究官。ストリンガーと人類起源・進化の発掘調査に30年以上携わり、共著多数。著書にTravels with the Fossil Hunters、Biotic Response to Global Change、Westbury Cave—The Natural History Museum Excavations 1976-1984など。
【訳者】
馬場悠男(ばば・ひさお)
国立科学博物館人類研究部名誉研究部員。元同館人類研究部部長、人類学会前会長。専門は人類形態進化学。主編著に『季刊考古学』118号「特集 古人類学・最新研究の動向」(2012.1)、『人間性の進化』(日本経済新聞社出版局)、『NHK日本人はるかな旅シリーズ(全5巻)』(あかね書房)。訳書にイブ・コパン『ルーシーの膝』(紀伊國屋書店)など多数。
道方しのぶ(みちかた・しのぶ)
フリーランスライター。専門は人類進化史、古代史、ロボット工学。著書に『甦る人類化石』(勉誠出版)、『日本人のルーツ探索マップ』(平凡社新書)。『日経サイエンス』などの雑誌や新聞科学欄にも記事を多数執筆。