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【推薦のことば】
地球上の解明されない〈神の仕業〉を、実に面白く解説
小菅正夫氏(旭山動物園前園長)
渡り鳥という呼び方は、なぜか私たちに郷愁を抱かせる。太古の昔から、どこからともなく突然姿を現し、気づいたらいなくなっている。これを神の仕業と考えても無理はない。地球上のいたる所で神の仕業が繰り広げられている。
すべてが、動物たちの生き残るため、命をつなぐための旅である。動物たちはどうやって目的地へとたどり着くのか。星座、地磁気、景色、匂いなどなど、動物たちが移動の手がかりとしている情報は、多種多様であるにちがいない。今、その情報を人間の社会活動が少しずつ狂わせている現実が、神の仕業を狂わせてしまうかもしれない。
本書は、古代の人々のロマンあふれる発想から科学的なアプローチ、それでも解明されない〈生まれながらにして知っている〉という事実を、オキアミからゾウにいたるまで実に面白く解説している。それでも、〈北海道で生まれたカッコウが、なぜ一羽で南を目指して飛び立つのか〉は、誰にもわからない。
動物たちの不思議な旅が満載
樋口広芳氏(東京大学名誉教授、鳥類・生態学・保全生物学)
青い星、この地球には、さまざまな生きものがくらしている。その中には、大空を何万、何十万、あるいはそれ以上の群れとなって移動するものがある。渡り鳥だ。毎年、春と秋にそうした大移動が繰り広げられる。また、陸の上でも海の中でも、種類は違っても、いろいろな動物たちが長い長い距離を移動する。圧倒されるような数と躍動感に目を奪われる。この本は、そうした地球の自然の醍醐味を、数多くのすばらしい写真と適切な解説を通して、存分に味わわせてくれる。こんなにすごい生命のドラマが、この小さな青い星の中で展開されていることなど、ほとんどの人は知らないにちがいない。