刊行案内＞自然科学＞『ビジュアル版　人類進化大全』

多くの謎に包まれたヒトの進化の歴史。新たな化石の発見や科学的な分析手法の発達により、深まりつつある研究の成果を、第一線の研究者が現場の調査・研究プロセスとともに克明に紹介。貴重な写真やイラストを満載した、人類学の新・基本書。

✦人類進化研究の世界的権威が解説し、ロンドン自然史博物館の全面協力により貴重な写真を満載。

✦さまざまな類人猿種を復元図とともに解説し、進化段階を克明に再現。

✦発掘作業の様子や最新の遺伝子分析、そこから導かれる進化モデル構築の現場を紹介。

Ｐ・ブラウン氏（ニューイングランド大学教授）

世界の古人類学研究をリードする2人による注目すべき、また魅力的な人類起源の図鑑である。化石証拠と遺伝学的証拠をもとに、最新の見解を紹介している。信頼性と説得力を備え、また豊富な写真・イラストを用いたこの図鑑を人類学に興味のあるすべての人に勧めたい。

諏訪 元 氏（東京大学総合研究博物館教授）

化石類人猿から新人の起源まで、稀に見る、バランスの取れた、ほぼアップ・トゥ・デートな人類史の紹介。2人の著名な研究者が、彼らの研究歴ならではの内容を実現している。化石や調査現場の写真も珍しいものが含まれ、見応えがある。専門家も一般の方も十分楽しめるだろう。

序／タイムライン

［第I部　私たちの祖先を求めて］

現生類人猿とその生息環境／ヒトの変異／古人類学／地質学的なタイムスケール／年代測定／動物の機能の研究／発掘と解析技術／化石研究の新技術／タフォノミー（化石生成学）／古代の環境について化石は何を語るか／気候変動／〈遺跡1〉ルシンガ島／〈遺跡2〉パシャラー／〈遺跡3〉ルダバーニャ／〈遺跡4〉オルドヴァイ渓谷／〈遺跡5〉ボックスグローブ／〈遺跡6〉ジブラルタル

［第II部　化石から進化を探る］

霊長類の起源／初期の真猿類／類人猿とは？／類人猿の祖先／プロコンスルと同時代の類人猿たち／中期中新世のアフリカ類人猿／出アフリカ／アンカラピテクス、その化石の謎／オランウータンの祖先／現生類人猿の祖先／後期中新世の類人猿と初期の人類の祖先／頑丈型のアウストラロピテクス類／ヒトの起源／初期のホモ属／ホモ・エレクトス／現代人への進化モデル／ヨーロッパへの初期の移住：グラン・ドリナ／ホモ・ハイデルベルゲンシス／アタプエルカとネアンデルタール人の起源／ネアンデルタール人／アフリカはホモ・サピエンスの故郷か？／アジアは回廊？　それとも袋小路？／ネアンデルタール人に何が起こったのか？／クロマニヨン人／最初のオーストラリア人／ホモ・フロレシエンシス／人類進化に関する遺伝子データ／ミトコンドリアDNA／ネアンデルタール人のDNA

［第III部　化石証拠の解釈］

類人猿と人類のロコモーション（移動様式）進化／採食についての進化／類人猿と人類の地理的拡散／最初のアメリカ人／環境に関連した進化と行動／道具とヒトの行動：最古の証拠／道具とヒトの行動：中期旧石器時代／道具とヒトの行動：後期旧石器時代／最初の芸術家／古代人の行動の復元1／古代人の行動の復元2／「人類の起源」をふりかえって

さらに読みたい読者のために／図版クレジット／索引

【著者】

クリス・ストリンガー（Chris Stringer）

ロンドン自然史博物館古生物研究部人類進化研究室、現役名誉研究官。有名な「単一起源モデル」を提示し、現在多くの考古学者、年代測定技術者、遺伝学者とともに人類進化のモデル再構築をめざし数々の共同研究を主催している。著書に『出アフリカ記 人類の起源』岩波書店、Homo britannicusなど多数。

ピーター・アンドリュース（Peter Andrews）

 ロンドン自然史博物館古生物研究部（人類進化研究室）、元研究官。ストリンガーと人類起源・進化の発掘調査に30年以上携わり、共著多数。著書にTravels with the Fossil Hunters、Biotic Response to Global Change、Westbury Cave—The Natural History Museum Excavations 1976-1984など。

【訳者】

馬場悠男（ばば・ひさお）

国立科学博物館人類研究部部長。日本人類学会会長。専門は人類形態進化学。主著に『人間性の進化』日本経済新聞社出版局、『NHK日本人はるかな旅シリーズ（全５巻）』あかね書房。訳書にイブ・コパン『ルーシーの膝』紀伊國屋書店など多数。

道方しのぶ（みちかた・しのぶ）

フリーランスライター。専門は人類進化史、古代史、ロボット工学。著書に『甦る人類化石』勉誠出版、『日本人のルーツ探索マップ』平凡社新書。『日経サイエンス』などの雑誌や新聞科学欄にも記事を多数執筆。