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矢部敦子の語り―新しい日本の語り 第1期第1巻
実績のある語り部たちが一堂に会した画期的シリーズ。
第1巻は、昭和30年代生まれの語り部、矢部敦子さん。
祖母から聞いた和歌山市紀ノ川辺りの〈おはなし〉は、
生活の知恵や人生の教えが詰まった全49話。
ユーモラスな桃太郎のパロディやことば遊び、
紀州広村の津波伝承「稲むらの火」など、
やわらかな和歌山ことばによる語りを収録。
【書評掲載】
▶『紀州新聞』2012年10月3日付で紹介されました。
現代のすぐれた語り部のひとり矢部敦子は、幼少期、やさしい中にもきびしく、時にこわい存在であった祖母から、夜ごと〈おはなし〉を聞かされて育った。
知らず知らずのうちに、先人の知恵が血肉となって紡ぎだされる、軽やかでユーモラス、時に残酷な語りの数かず。読んで、見て、聴いて、楽しんでいただければ、「ほんまに、ほんまナニやで、えらいおおきに」。
第1巻 矢部敦子の語り
(責任編集者・高津美保子)
全49話
おはなしのある暮らし(矢部敦子)
和歌山の話
紀伊の国ができた話/紀州の殿さま―民はありがたい/紀州の殿さま―片身の魚/紀州の殿さま―鮭の皮/紀州の殿さま―見んほど美しいものはない/お大師さまの話―宝手ぬぐい/お大師さまの話―梨売り/お大師さまの話―餅つかぬ村/髪長姫/鳥女房/和尚と小僧―鯨突き/亀ののろい/稲むらの火
自然と生き物
空の廊下/雷さんとお月さんとお日さん/ウサギが月で餅ついているわけ/ミミズの話/セミの話/ミノムシの由来/京都の蛙と大阪の蛙/百姓とカラスと鶏/五徳と犬/猿とカニ/猿の生き胆/ワラビの恩を忘れたか/大根、人参、ごぼう/自分をのんだ蛇
人と生き方
竹二本の運/十六の蜂の子/寿限無/物は思いよう/若返りの水/絵姿女房/猿婿入り/桃太郎/ネズミ経/茶栗柿麩/夢を握りつぶした男/取っ付こうか引っ付こうか/こんにゃく風呂/腹も身の内/身すり旅人/象を五人で調べたら/絵からぬけだす子
ことば遊び
くさかった/もう、もうたろう/クモ男爵/はなさんかじじい/おもしろ言葉
矢部敦子の語りの魅力(高津美保子)
語りの学校 I(米屋陽一)
1.民話の世界
2.「かたる」「はなす」「つたえる」ということ
3.昔語りの場の宣誓
4.昔語りの場とは
【第1巻の語り部】
矢部敦子(やべ・あつこ)
1958年、和歌山県和歌山市に生まれる。東京都小平市在住。小さな頃から祖母の語りを聞いて育ち、その豊かなレパートリーを受け継いでいる。 小平民話の会・日本民話の会の一員として、学校や公民館で語りはじめ、多くの語り手を魅了し、NHKの「日本語であそぼ」などでもその語りが紹介された。民話集に『矢部敦子の語りの世界』(日本民話の会)、CDに『ラジオ深夜便 日本の民話・和歌山』(NHK)、『昔話ふるさとへの旅・和歌山』(キングレコード)がある。