[改訂]心理学と精神医学の分野での報告書の書き方
臨床心理士やカウンセラーを目ざすすべての人に必携の手引書、待望の復刊
各種産業や学校、司法や医療・介護の現場などでますます高まる心理査定や心理療法の要請に、的確に応えるために。「人」を評価し報告する際に心がけたいポイントを明解に説き、臨床心理や精神医学の学生・専門家のみならず、組織の管理職などにも示唆を与える書。
Ⅰ.報告書作成についての基本的事項
報告書の機能/依頼者から学ぶこと/人格理論は必要か/観察する人とされる人/報告書のための資料/他の専門領域からの資料/正常と異常/診断についての問題/診断に関する合意/主な脈絡/全体と部分/いかに書き始めるか
Ⅱ.事例を系統的に説述する方法
系統立った説述の意味/様式を用いるかどうか/構成の三つの型/年齢を軸にしたもの/項目を軸にしたもの
Ⅲ.種々の分野における報告書の様式
心理学的報告書の一般様式/知能についての報告/神経学者向けの報告書/産業の分野での報告書/精神医学的なまとめ
Ⅳ.治療経過の記録はどうするか
記録するか、しないか/いつ、どのようにして記録をとるのか/逆転移についての記録/次回の面接に備えての記録
Ⅴ.報告内容に関する注意事項
報告書の長さ/教えるのか,報告するのか/身体状況についての記述/クリニックにおける患者の行動の記述/患者からの引用/テスト結果の書き方/協力者の印象/手持ちの資料を解釈しえない場合
Ⅵ.どのように表現すればよいか
してはいけないこと/明晰さと格好良さ/明確さと簡潔さ/修飾語句と不決断/修飾と価値判断/専門用語/好みの概念と表現/紋切型の記述/ごく小さなこと/文体について
Ⅶ.個人の秘密をどうするか
Ⅷ.報告書の実際例
本書は本来、精神医学や心理学の学生や専門家のために書かれたものである。さらにまた、人事管理を行なう人、言語治療士、そのほか人間について報告書を作成しなければならない人にとって役立つであろう。(「序文」より)
最初の訳書は初版の事情で10数年前から品切れになっていました。…原書が出版されたのは50年近く前ではありますが、内容的には現時点でもそのまま通用すると思われ、簡潔で活用しやすい体裁になっているので、これより右に出る類書は今のところ無いと考えています。ぜひ座右に置いて参考にしてほしいものです。(「改訂版・訳者まえがき」より)
【著者】J. T. ヒューバー(Jack T. Huber)
アデルフィ大学の心理学研究所教授として十年余奉職。大学附属の心理相談所所長と学生相談所所長も兼務。その後、ニューヨーク市立大学のハンターカレッジ教授として、カウンセリング・人格理論、教授法の心理学などの講義を担当。永年の間、ニューヨーク市の職業相談所のコンサルタントもつとめる。
【訳者】上芝功博(うえしば・よしひろ)
法務省矯正研修所非常勤講師。『ロールシャッハ法研究』前編集委員長。法務省の心理技官として主に少年の診断・鑑別業務に携わり、東京少年鑑別所長、千葉大学教育学部教授等を務める。著書に『改訂増補・臨床ロールシャッハ解釈の実際』、訳書に、Z. A. ピオトロフスキー『知覚分析』など。