妖怪・神・異郷―日本・韓国・フランスの民話と民俗

[著]樋口淳

[定価]本体2,000円+税

[体裁]四六判・224ページ

[ISBN]978-4-86582-98-4

2015年4月発売

 

3つの国の民話と民俗、暮らしを読み解く

カトリックのフランス、儒教の韓国、そして何でもありの日本。

まったく違うように見えても、〈この世〉から〈あの世〉へという構造は同じ。

神、妖怪、幽霊、ご先祖さまと、色々かたちを変えて

あの世とこの世を生きる〈ひとの世〉の不思議にせまる。

 

日・韓・仏3ヵ国の民話や民間信仰のなかの〈異郷〉を読み解き、

妖怪・幽霊・神・祖霊を語り伝えてきた物語の構造と世界観をさぐる、

比較民俗学の試み。

 

第1章 民話のなかのふしぎな世界―町と村と森と山

1 遠野物語と魔法民話の構造:<村→森→村>という基本パターン

2 青い聞耳頭巾:<村→森→町>というパターン

3 シンデレラと青ひげ:<村→町>というパターン

4 ハーメルンの笛吹き男と山寺の怪:<町>だけというパターン


第2章 ふしぎな世界の住人たち―妖怪と幽霊と神

1 妖怪と幽霊

2 民話のなかの幽霊

3 ゲゲゲの鬼太郎とオバケのQ太郎


第3章 韓国の神・妖怪・異郷―奄尾里の民話「黄判書」

1 ソウル近郊の村・奄尾里の語りを聞く

2 村の境を守る神:チャンスンとソナン神

3 韓国の妖怪・トケビのはなし

4 「黄判書」―ふしぎな世界の時間と空間

5 「黄判書」の構造

6 パラレル・ワールドの二つの王国

7 語り手の世界観と語りの構造

8 もう一つの語り―「金政丞と李政丞」

9 まとめ


第4章 韓国人の霊魂と悪霊のゆくえ

1 ご先祖さまとの暮らし

2 お墓と祖霊

3 死者のたたり

4 魂の通過儀礼

5 気まぐれな祖霊たち

6 トケビとともに生きる


第5章 フランスの来訪神

1 訪れる神々の民話

2 神を迎え、神を送る民俗

3 冬祭りのサイクル

4 春祭りのサイクル

5 フランスと日本の来訪神の基本構造


第6章 クリスマスとカーニヴァル―神の訪れを祝うふたつの祭り

1 サンタクロースに会うために

2 サンタクロースがいっぱい

3 ベルギーの町バンシュのカーニヴァル

4 ジルたちの一日


まとめ―比較民俗学とはなにか


【著者】

樋口 淳(ひぐち・あつし)

専修大学文学部教授、東アジア民話データベース作成委員会委員長。1969 年より1975 年までベルギー、1980 年より1981 年までフランスに政府給費留学生として滞在。1988 年に慶煕大学校客員教授として韓国滞在。民俗調査を行い、比較民俗学会日本担当理事をつとめた。著書に『民話の森の歩き方』(春風社、 2011)、編著書に『フランス民話の世界』(白水社、 1989)、翻訳に『フランスの祭りと暦』(M. グースカン著 、原書房、 1991)、『祖先祭祀と韓国社会』(ジャネリ・任著 、第一書房、1993)などがある。