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図説 初期アメリカの職業と仕事着―植民地時代~独立革命期
▶2016年2月1日発売
[著]ピーター・コープランド
[訳]濱田雅子
[定価]本体2,800円+税
[体裁]四六判・304ページ
[ISBN]978-4-86582-009-6
✣日本図書館協会選定図書
1710年から1810年までの100年間、新聞・雑誌に取り上げられたり肖像画などが残されたりしている上層階級とちがい、一般大衆や地方の農民がどのような職業に就き、どのような服を身にまとっていたのかを示す遺品は皆無に等しい。しかもこの時代のアメリカには、イギリスのホガースやパインのような下層階級の人びとを描いた画家が生まれなかったので、植民地時代のアメリカの一般大衆は、その時代に描写されないまま、歴史から消えてしまった。
著者コープランドは、移民としてやってきた人びとの本国(大多数がヨーロッパ)の絵画資料をもとに、アメリカの大衆の生活と服装を類推する方法をとり、さらに、逃亡奴隷を捕えるための広告や旅行者の明細書などにもとづいて、みずからイラストをおこし、仕事着の材質から着用の仕方まで詳細に解説をほどこした。図版はイラスト223点、写真36点にのぼる。
本書は、歴史から取り残されてしまった18世紀アメリカの中産階級や下層階級の生活の実相を、体系的かつビジュアルによみがえらせた貴重な文献である。
序論
第1章 船乗りと漁師
第2章 農民と農村労働者
第3章 職人と都市労働者
第4章 商人と行商人
第5章 フロンティア開拓者
第6章 輸送労働者
第7章 公僕
第8章 正規軍と民兵
第9章 知的職業人
第10章 使用人
第11章 年季契約奉公人と奴隷
第12章 犯罪人
第13章 民族に固有の服装
用語解説
訳者あとがき
再版にあたっての訳者あとがき
事項索引
人名索引
【著者】
ピーター・コープランド(Peter F. Copeland,1927~2007)
アメリカ、スミソニアン協会の歴史関係の主任イラストレーターを務め、同協会退職後はアメリカ史に関するフリーのイラストレーター、ライター、コンサルタントとして活躍。論文や専門書のほか、子ども向けの絵本41 冊を精力的に出版。研究分野は、アメリカ独立革命やカリブ海の海底研究や18~20世紀の軍服や市民服に関するもの。代表的著作として、"Story of the American Revolution Coloring Book" (Dover History Coloring Book, Paperback,1988)
"Naval Battles of the Civil War Coloring Book"(Dover Publications, 1996), "Western Pioneers Coloring Book" (Dover Publications, 1997)
"Life in Colonial America" (Dover History Coloring Book, Paperback, 2002), "George Washington Coloring Book" (Dover History Coloring Book,Paperback, 2003), "Heroes and Heroines of the American Revolution" (Dover History Coloring Paperback, 2004)などがある。
【翻訳者】
濱田雅子(はまだ・まさこ)
アメリカ服飾社会史研究者。元武庫川女子大学教授。博士(家政学)。西洋服飾文化史専攻。アメリカ服飾社会史研究会会長。神戸大学文学部史学科で西洋史学を専攻、大学助手を務めたのち、服飾デザイナーへの転身を志し、アパレル業界でパターンメイキングと衣服製作に携わる。その後、服飾史研究に転じ、武庫川女子大学大学院家政学研究科修士課程(被服学専攻)を修了、同大で教鞭をとる。国際服飾学会の衣裳展で創作デザインを発表し、大学退官後は研究会を主宰し、京都と神戸で服飾講座を開催するなどしている。著書に『アメリカ植民地時代の服飾』(せせらぎ出版、1996年)、『黒人奴隷の着装の研究』(東京堂出版、2002年)、『アメリカ服飾社会史』(東京堂出版、2009年)、丹野郁編『西洋服飾史-増訂版』(共著、東京堂出版 、1999年)、丹野郁監修『世界の民族衣装の事典』(共著、東京堂出版、2006年 )、 翻訳書にP.F.コープランド著『アメリカ史にみる職業着』(せせらぎ出版、1998年)、J・ギロウ&B・センテンス著『世界織物文化図鑑』(共訳、東洋書林 、2001 年)、アルベール・ラシネ原著『世界服飾文化史図鑑』(共訳、原書房、1992)など。