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フランスをつくった王―シャルル7世年代記
フランス国家のアイデンティティはいつ、どのようにして生まれたのか?
百年戦争のさなか、狂気の父の11番目の息子として生まれたシャルルは、運命のいたずらから王太子の地位を拾い、やがてベリー公の富を受け継ぎ、アンジュー公妃の庇護を得て、イギリスを駆逐し、フランスを国民国家に導く。
シャルルの人生を彩る、オルレアンの乙女ジャンヌも、ジャンヌと共に戦った〈青ひげ〉ジルも、冒険商人ジャックも、愛妾アニェスも、激しい戦いと権謀術数の渦に巻き込まれ、歴史の闇に消えていく…
2010年秋に舞台化して話題になった「ジャンヌ・ダルク」の主要な登場人物、シャルル7世と彼を取り巻く人物群像を描く歴史物語。
✦シャルル7世(1403〜1461)
ヴァロワ朝第5代フランス王。百年戦争でイギリスに北西部を占領され王位継承権も奪われたフランスで、ジャンヌ・ダルクの力を得て、オルレアンを包囲するイギリス軍を破り、1429年奪回したランスで戴冠式を挙げ王位に就く。以後、領土を取り戻して戦争を終結させる。統治機構や軍制・財政を改革し、中央集権的な近代国家へと導いた。
▶▶▶週刊『読書人』(2011.9月9日付)に書評が掲載されました (評者:川村湊氏)。
序 国民国家フランスの誕生
1. 狂気の父と不実な母
1-1 みにくい王子の誕生
1-2 三代目のシャルル
1-3 父の病い
1-4 不実な母と王弟ルイの戦略
2. 「よき母」ヨランドと「金持ちおじさん」のジャン
2-1 「よき母」ヨランド・ダラゴン
2-2 金持ちおじさんジャンの遺産
2-3 ブルゴーニュ公の暗殺とトロワ条約
3. オルレアンの乙女と青髭
3-1 寵臣たちとの戦い
3-2 オルレアンの乙女
3-3 ジル・ド・レの戦い
4. フランス王シャルル7世の権力と政治
4-1 パリへの遠い道のり
4-2 野盗退治と軍制の改革
5. ジャック・クールとノルマンディの解放
5-1 ジャック・クール
5-2 ノルマンディ解放とジャックの逮捕
6. エピローグ
6-1 「蜘蛛の王子」ルイの罠
6-2 シャルル7世の死
参考文献
樋口淳(ひぐち・あつし)
専修大学文学部人文ジャーナリズム学科教授。ベルギーのルーヴァン大学卒業後、フランス・日本をはじめ各国の民話や民俗の研究に取り組む。著訳書に『ヨーロッパの民族学』『フランスの民族学』 (白水社・訳書)、『民話の森の歩きかた』(春風社・近著)、編書に『フランス民話の世界』(白水社)、『ガイドブック世界の民話』(講談社)、『越後松代の民話』(国土社)など。日本民話の会運営委員をつとめるほか、日本民話データベース作成委員会を組織し、民話記録のデータベース化に取り組んでいる。