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歴史(イストリア)
▼2024年11月21日配本(25日発売)
[著]ニキフォロス=ヴリエニオス
[訳]相野洋三
[日本語版序文]井上浩一
[体裁]A5判・400ページ
[定価]本体5,000円+税
[ISBN]978-4-86582-050-8
※帯は、佐藤二葉氏(『アンナ・コムネナ』作者)の推薦文とイラスト付きです!
Ⓒ星海社COMICS
西洋古代・中世を通じて唯一の女性歴史家、アンナ=コムニニを歴史学へと導いた、夫ニキフォロスによる歴史書!
「読むに価し大いに評価されるべき作品!!!!」
(『アレクシアス』第Ⅶ巻2章6節より)
西洋古代・中世を通して唯一の女性歴史家、
アンナ=コムニニを歴史学へと導いた、正統派歴史書!
11世紀ビザンツ帝国を襲う危機・内乱・群雄割拠のなか立ち上がる、
やがて皇帝となる若き英雄の苦難と活躍!反逆者の孫にして皇帝の婿となった、軍人歴史家による真摯な歴史叙述。当時の軍人社会の価値観、そして歴史家の目を通して見た乱世へと私たちを導きます。
――佐藤二葉・『アンナ・コムネナ』作者
東西の結節点に位置する「諸都市の女王(ヴァシリス=トン=ポレオン)」、コンスタンティノープルを首都として繁栄を謳歌したビザンツ帝国も、11世紀後半には衰亡の危機に瀕する。この反乱相次ぐ動乱期に帝位を手中にしたアレクシオス1世コムニノスは周辺民族の侵攻などの国難に果敢に立ち向かい、帝国を再建する。
その父皇帝の治績を綴った娘アンナの大著『アレクシアス』の礎となった、夫ニキフォロスによる歴史書を初邦訳。アレクシオス1世の父の世代から語り起こし、皇帝ロマノス4世がトルコ軍の捕虜となったマンツィケルトの戦い(1071年) 、著者の祖父ニキフォロス・ヴリエニオスの反乱(1077年)、メリシノスの反乱(1080年)までを、若きアレクシオスの活躍とともに活写する。マンツィケルトの戦いを記録した同時代の歴史書4書(抜粋)も収載。解題と詳細な訳註を付す。
ーー“西洋古代・中世を通じて唯一の女性歴史家といわれるアンナ・コムニニを歴史学へと導いたのは、その夫ニキフォロス=ヴリエニオスであった。アンナが異色の歴史家であったのに対して、ニキフォロスは、古代ギリシア以来の歴史学の伝統を受け継ぐ、正統派の歴史家である。正統派という意味は、ニキフォロス=ヴリエニオスの経歴、その著作『歴史』が語っている。”
(井上浩一「ニキフォロス=ヴリエニオスの生涯と作品」より)
ニキフォロス=ヴリエニオスの生涯と作品(井上浩一)
系図:コムニノス家とドゥカス家
:ヴリエニオス家
付図:十一世紀のローマ世界(全体図・中心部拡大図)
凡例
序文
[ニキフォロス=ヴォタニアティスの簒奪~アレクシオス=コムニノスの怒り~アレクシオス=コムニノスに対する陰謀〜アレクシオス= コムニノス、ヴリエニオスとヴァシラキスを捕らえる〜アレクシオス=コムニノスの反乱〜ニキフォロス=ヴリエニオスによる序文]
第Ⅰ巻
[イサアキオス=コムニノスとヨアニス=コムニノス兄弟の教育〜イサアキオス、権力の譲渡を弟に申し出る〜コンスタンディノス=ドゥカスの即位〜ヨアニス=コムニノスの子供たち〜トルコ人の起源、ムゥフゥメトとタングロリピクス〜マヌイル、フリソスクロスを籠絡する〜ディオエニス、トルコ人に対して進撃を決意する〜ヴリエニオス、ヴァシラキスの救援に向かう〜ローマ軍の敗北と皇帝の捕縛〜皇后エヴドキアと息子ミハイルが権力を握る〜アンドロニコス=ドゥカスの出征〜ロマノス=
ディオエニスの捕縛と拷問と死]
第Ⅱ巻
[新しい統治〜フランク人ウルセリオスの離反〜ローマ軍敗れ、イサアキオス、トルコ人に捕らえられる〜ローマ軍の脱走およびアレクシオスの逃走〜ケサルのヨアニスの対ウルセリオス遠征〜ゾムポスの戦い、ケサルの敗北と捕縛〜アレクシオス、しつこくウルセリオスを攻撃する〜アマシアの住民へのアレクシオス=コムニノスの演説〜アレクシオス=コムニノス、フランク人の要塞を奪う〜アレクシオス=コムニノスとセオドロス=
ドキアノスの会見〜イサアキオス=コムニノス、アンティオキアの総主教を同市から追い払う〜アンティオキアでの暴動とトルコ人のシリアへの侵入]
第Ⅲ巻
[ニキフォロス=
ヴリエニオス、ケサルに推薦される〜ヨアニス=ヴリエニオスとニキフォロス=ヴァシラキスの共謀〜アドリヌポリスにおけるヴリエニオス〜コンスタンティノープルを前にしてのヨアニス=ヴリエニオス〜攻囲側によってなされた破壊行為〜アレクシオス=コムニノスの手柄および結婚〜攻囲の打ち切りとヴリエニオスの対スキタイ戦〜ニキフォロス=ヴォタニアティスの反乱〜コンスタンティノープルにおける元老院と軍の謀反〜アレクシオス=
コムニノス、コンスタンディオスを皇帝に据えようと試みる〜皇帝ミハイル=ドゥカスの退位]
第Ⅳ巻
[ヴォタニアティス、国庫の金を使い尽くす〜アレクシオス= コムニノス、諸軍の指揮を引き受ける〜ヴリエニオス軍の陣立て〜アレクシオス= コムニノス軍の陣立て~ニキフォロス= ヴリエニオス、捕らえられる〜ヴリエニオス、視力を奪われる〜ヴァシラキス、セサロニキから出撃する〜アレクシオス= コムニノスの戦略〜イサアキオス=
コムニノス、ヴォタニアティスの寵を得る〜アレクシオス=コムニノス、スキタイを追い払う〜ニキフォロス=メリシノスの反乱〜プロトヴェスティアリオスのヨアニス、軍事指揮をとる〜エオルイオス= パレオロゴス、ニケアの包囲をやめさせようとする〜プロトヴェスティアリオスの忘恩]
付録:マンツィケルトの戦い―ロマノス= ディオエニス帝の最後の遠征からその死まで―
プセロス『年代記』
アタリアティス『歴史』
『続スキリツィス』
ゾナラス『歴史要約』
解題
訳者あとがき
*
相野洋三先生の逝去を悼む(中谷功治)
ニキフォロス=ヴリエニオス『歴史』テクストに関する補遺(村田光司)
訳註
関連史料および参照文献
索引
【著者】
ニキフォロス=ヴリエニオス(Νικηφόρος Βρυέννιος):
(1080頃?〜1137/38年)アドリアヌポリスの有力な軍人貴族の出で、ビザンツ皇帝アレクシオス1世コムニノス(在位1081〜1118年)の息女アンナ=コムニニ(1083〜1154/55年頃)と結婚し、皇帝の娘婿として外交・行政・軍事に手腕を発揮する。皇后イリニや妻アンナからアレクシオス1世の後継として即位を期待されるも野心的な行動をとらず、アンナの弟ヨアニスが帝位に就くとそれに仕えた。義母イリニの依頼によりアレクシオス1世の治績を伝える歴史書(本書)を執筆する。
【訳者】
相野洋三(あいの・ようぞう):
1941年、神戸市に生まれる。関西学院大学大学院文学研究科博士課程(西洋史学)単位取得後退学、兵庫県立高校に勤務し、2002年退職後「ビザンツ帝国海軍組織の研究」により博士学位(歴史学)取得。著書に『モレアの夢ー中世地中海世界とフランク人征服者たち』(碧天舎、2003)、『続モレアの夢ーアテネからイスタンブル・近郊』(同、2004)、訳書にアンナ = コムニニ『アレクシアス』(悠書館、2019 年)。2023 年 11 月 16 日永眠。
【チラシ】
【関連書】
(裏面:『近代ヒスパニック世界と文書ネットワーク』『貿易商人王』『銃後のアメリカ人』『デモクラシーという幻想』)
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