世界探検家列伝―海・河川・砂漠・極地、そして宇宙へ
【編著】ロビン・ハンベリ=テニソン
【訳】植松靖夫
定価=本体9,500円+税
B5判カラー304ページ
2011年8月発売
ISBN978-4-903487-49-6
✣日本図書館協会選定図書
いま、新たな探検の時代がはじまる!
東アフリカの大地溝帯で出現した人類は、やがて〈出アフリカ〉を果たすと、世界各地に散らばり、遠く北アメリカや南アメリカ大陸まで移動していった。それは、食料や土地を求めての行為であり、また人類が持つほかの動物とは違う能力、旺盛な好奇心に駆られての行為でもあったろう。われわれの太古の祖先たちは、大探検家の先駆者であった。
本書は、ヨーロッパ世界が他の世界を〈発見〉した時代から始まる。 世界の形を変えた男コロンブス、神業ともいえる航海術を駆使したキャプテン・クック、黄金への飽くなき欲望に駆られたエルナンド・デ・ソト、中央アジアを舞台に諜報活動にも従事したプルジェワルスキーやナイン・シン、学術的調査に生涯をかけたA・フォン・フンボルトにオーレル・スタイン、極寒と氷の世界に挑戦したナンセンやアムンセン、熱と渇きの極限世界である砂漠に魅せられたガートルード・ベルやハリー・セント・ジョン・フィルビー、ナイルの水源発見を競ったリチャード・バートンにジョン・ハニング・スピーク、世界中の美しい花々を描き続けたヴィクトリア時代の女性マリアンヌ・ノース、海底の魅力を世界に伝えたジャック=イヴ・クストー、人類初の宇宙飛行をなしとげたユーリイ・ガガーリン―。
並はずれた好奇心と強い意志をもって、ふたたび生きて帰れる保証のないままに未知の世界へ旅立ち、地球に関する〈知〉の蓄積に大いなる貢献をした探険家40人の生涯と事績。
今日、地球はすみずみまで調べつくされたかのようにみえる。しかし、底までの深さを測りはじめ、天の星たちに手を伸ばしはじめてみて、実は人類が自然界の活動をいかほども理解していないこと、なすべきことがどれほど多く残っているのか、それがわかってきたにすぎない。しかも、美しい地球を救うのに残された時間はわずかしかない。今、新しい探検の時代が始まる!
▶▶▶『朝日新聞』(2011年9月11日付)読書面、
『図書新聞』(2012年1月1日号)書評(評者:金子民雄氏)、
『新潟日報』(2011年12月25日付)読書面(評者:川成洋氏)
で紹介されました。
地球上のより遠くの地を目ざす勇気を持つ、あらゆる人にとって「何か」がある
C・W ニコル氏(作家・環境保護活動家・探検家)
このすばらしい本を読むことができて幸せだった。イラストもきれいだし、上手に編集されている。なにより、編著者自身が著名な探検家であり、われわれを駆り立て、興奮させるものが何であるかをよく知っている。この本のウォリー・ハーバート卿の章で、ロイ・フリッツ・コーナーとアラン・ギルの名が出てくるが、21歳で北極圏にあるデボン島探検隊の最も若き越冬隊員になったとき、実は、このふたりと行動を共にしたことがある。私の3度目の探検だった。懐かしい思い出がよみがえった。
この本には、好奇心と驚きをもって地球上のより遠くの土地に行きたいという勇気を持つあらゆる人にとっての何かがある。たくさんの人に読んでもらいたいが、人に貸したくない本でもある。
水平線の彼方を目指して
【大海原】
クリストファー・コロンブス:世界の形を変えた男
ヴァスコ・ダ・ガマ:海路にてインドへ
フェルディナンド・マゼラン:世界周航
ルイ—アントワーヌ・ド・ブーガンヴィル:フランスの太平洋進出
ジェイムズ・クック:学術的な南海探検
【陸地の探検】
エルナンド・デ・ソト:黄金を求めて
ルイスとクラーク:アメリカ大陸の未知なる西部へ
トマス・ベインズ:遙かなる大地の画家
リチャード・バートン:発見に取り憑かれた男
ナイン・シン:禁断の土地で地図を作製
ニコライ・プルジェワルスキー:中央アジアにおける地理学・政治学・狩猟
ネイ・エライアス:孤独な諜報活動
フランシス・ヤングハズバンド:チベットの軍人にして神秘主義者
マーク・オーレル・スタイン:シルクロードを行く
【河川】
サミュエル・ド・シャンプラン:カナダの荒野を開拓
ジェイムズ・ブルース:アビシニアにて魅力と勇気を発揮
アレグザンダー・マッケンジー:カヌーでアメリカ横断
マンゴ・パーク:黒人の謎を解く
ジョン・ハニング・スピーク:ナイル川の水源発見
デイヴィッド・リヴィングストン:アフリカ沿岸を行く
フランシス・ガルニエ:メコン川に取り憑かれた男
ヘンリ・モートン・スタンリー: 大英帝国の下僕
【極地の氷を目指して】
フリチョフ・ナンセン:北極探検家にして外交官
エドワード・ウィルソン:科学者・医師・博物学者・藝術家
ロアール・アムンセン:両極点を目指す激しい情熱
ウォリー・ハーバート:最後の北極大探検
【砂漠へ】
ハインリヒ・バルト:サハラ砂漠を横断
チャールズ・スタート:内陸海を探し求めて
ガートルード・ベル:中東の詩と政治
ハリー・セント・ジョン・フィルビー:アラビアへの熱情
ラルフ・バグノルド:砂丘を駆けるフォード車
ウィルフレッド・セシジャー:ルブアルハリ砂漠の精大地の生命
アレクサンダー・フォン・フンボルト:学術的探検の第一人者
マリアンヌ・ノース:怖いもの知らずの博物学者にして植物画家
アルフレッド・ラッセル・ウォレス:適者生存
フランク・キングドン—ウォード:東アジアで植物採集
【新次元の世界へ】
ジーノ・ワトキンズ:危険に取り憑かれて
ユーリイ・ガガーリン:人類初の宇宙飛行
ジャック—イヴ・クストー:潜水のパイオニア
アンドルー・ジェイムズ・イーヴィス:地下の新世界を発見
参考文献
引用出典
索引
【編著者】
ロビン・ハンベリ=テニソン(Robin Hanbury-Tenison)
著名な探検家・著作家・映像作家・環境保護論者。『サンデー・タイムズ』紙によれば、〈この20年間で最大の探検家〉(1982)であり、〈20世紀をつくりあげた1000人〉のうちの1人(1991)である。王立地理学会の評議員・副会長で、ゴールド・メダル受賞者。The Oxford Book of Exploration(1993)やThe Seventy Great Journeys in History(2006)の編者。
【訳者】
植松靖夫(うえまつ・やすお)
上智大学大学院後期課程修了。東北学院大学教授。主要訳書にH.P.ラヴクラフト『文学と超自然的恐怖』、K.チェズニー『ヴィクトリア朝の下層社会』、K.ヒューズ『十九世紀イギリスの日常生活』、H.メイヒュー『ヴィクトリア時代ロンドン路地裏の生活誌』、G.ウェイトマン『図説・テムズ河物語』、C.ヒバート『図説・イギリス物語』、M.ファーバー『文学シンボル事典』、U.エーコ『美の歴史』、コリン・ウィルソン『人狩り』、R.ハクスリー『西洋博物学者列伝』など。
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