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アレクシアス
[著]アンナ=コムニニ
[訳]相野洋三
[日本語版序文]井上浩一
[体裁]A5判・856ページ
[定価]本体8,000円+税
[ISBN]978-4-86582-040-9
2019年12月(第2刷 2020年3月)
皇女が綴る父皇帝の年代記…ビザンツ歴史文学の最高傑作!
東西文明の十字路に位置し、数百年の長きにわたって栄華を誇ったビザンツ帝国も、11世紀末~12世紀初期にかけて衰亡の危機に見舞われていた。国境の彼方から、南イタリアのノルマン人、北方と東方のステップの諸民族など、さまざまな異民族が押し寄せる脅威にさらされ、さらに第一回十字軍の到来でその対処に追われ、国内では、反乱・陰謀・異端が渦巻き、帝国は「息を引き取ろうとしていた」。
これらの難局に立ち向かい、帝国を滅亡の危機から救い出した父の皇帝アレクシオス1世の姿を克明に描いた、ビザンツ帝国史研究の重要資料、初の日本語版。
詳細な訳註と索引を付す。
【書評掲載】▶『史学雑誌』第129編第12号(2020年12月)「新刊紹介」に掲載されました。
▶2020年6月20日付『図書新聞』に書評が掲載されました(評者・佐伯(片倉)綾那氏)。
▶『関学西洋史論集』XLIII(2020年)でご紹介いただきました(筆者・中谷功治氏)。
▶『アエラ』2020年1月27日号、作家・星野博美さんの「星野博美の読まずにはいられない」に書評を掲載いただきました。
▶2020年2月1日付『朝日新聞』に書評が掲載されました(評者・出口治明氏)。
▶『みすず』1・2月合併号「読書アンケート特集」にてご紹介いただきました(筆者・小澤実氏)。
▶『歴史街道』2020年4月号に掲載いただきました。
アンナ=コムニニの生涯―日本語訳『アレクシアス』に寄せて―(井上浩一)
系図:コムニノス家とドゥカス家
付図Ⅰ:帝国東方部
付図Ⅱ:帝国西方部
付図Ⅲ:コンスタンティノープル
凡例
序文
第Ⅰ巻:ミハイル七世ドゥカス、ニキフォロス三世ヴォタニアティス治世下における若き将軍アレクシオスの三つの手柄~南イタリアの征服者ノルマン人ロベルトス=ギスカルドス(ロベール=ギスカール)のギリシア遠征の準備
第Ⅱ巻:ニキフォロス=ヴォタニアティス帝に対するコムニノス一族の反乱~アレクシオスの皇帝選出、皇帝歓呼を受ける~1081年4月1日、アレクシオス軍、帝都を掌握
第Ⅲ巻:アレクシオスならびにイリニ=ドゥケナ両陛下の人となりと容姿~帝都に対する反乱軍兵士の非人道的行為に対するアレクシオス帝の贖罪
第Ⅳ巻:ディラヒオンの戦い(第一次ノルマン戦争[1081~85年]の開始)~ロベルトス=ギスカルドス率いるノルマン軍の勝利~アレクシオス、二日二夜をかけてアルバニアの山岳地帯を駆け抜けオフリドへ落ち延びる
第Ⅴ巻:ロベルトス、イタリアへ帰還~アレクシオス、ギリシア西部・マケドニア・テサリアにおいてロベルトスの息子ヴァイムンドス(ボエモン)のノルマン軍と戦う~二度の敗北の後、1083年秋、ヴァイムンドスに対する初めての勝利
第Ⅵ巻:アレクシオス、ノルマン人からカストリア(北ギリシア)を奪還~ヴァイムンドス、イタリアへ帰還~アレクシオス、ヴェネツィアへ特権授与~1085年7月、ロベルトス、再度のギリシア遠征の途中、熱病により死去~初子アンナの誕生(1083年12月2日)~トルコとの戦い~遊牧民スキタイ(パツィナキ)の脅威
第Ⅶ巻:バルカンにおけるスキタイ(パツィナキ)との戦い~スミルナのアミール、ツァハスとの戦い
第Ⅷ巻:スキタイ(パツィナキ)との戦い~1091年4月、スキタイ(パツィナキ)に対するローマ軍の最終的勝利~アレクシオス帝に対する度重なる陰謀事件の発生
第Ⅸ巻:スミルナのツァハスとの戦い~クレタとキプロスにおける反乱~セルビア人との戦い~ニキフォロス=ディオエニスの陰謀~セルビア人の服従
第Ⅹ巻:修道士ニロスの異端の登場~バルカンの遊牧民コマニとの戦い~十字軍のはじまり
第Ⅺ巻:第1回十字軍(1096~99年)~シリアにおける十字軍士たちの活躍~ヴァイムンドス、アンティオキアを掌握~ヴァイムンドス、ローマ軍との戦いで苦境に陥り、イタリアへ脱出(1105年1月)
第Ⅻ巻:さまざまの国内問題~ヴァイムンドス、ディラヒオンを包囲、第二次ノルマン戦争(1107~08年)
第ⅩⅢ巻:ブルガリア王族出身のアロン一族の陰謀~ヴァイムンドスに対するアレクシオス帝の最終的勝利~ディアヴォリス条約の締結(1108年9月)
第ⅩⅣ巻:トルコ人に対するローマ軍の成功裡の戦い~アンティオキアにおける十字軍士に対する対応~アレクシオスの病気とその原因~アンナの歴史家としての立場~フィリプポリスにおける異端に対するアレクシオス帝の使徒的な働き
第ⅩⅤ巻:アレクシオス帝のトルコ人に対する成功裡の最後の遠征(1116年)~コンスタンティノープルの孤児院の再建~ヴォゴミル派の首領ヴァシリオスの裁判と火刑~アレクシオス帝の最後の病と死(1118年8月15日)
訳者あとがき
訳註
関連史料および参照文献
索引
【著者】
アンナ=コムニニ(Anna Komnēnē):
(1083年12月2日「緋の産室」生まれ~1154/55年頃没)
アレクシオス1世コムニノスの息女。1097年頃、名門の軍事貴族出のニキフォロス=ヴリエニオスと結婚。アレクシオスの死後、アンナの弟ヨアニスが即位。アンナは夫ヴリエニオスを担いでクーデターを企てるも失敗。以後、母の建てた修道院に入り、父アレクシオス1世の治績を綴った畢生の大著『アレクシアス』を著した。西洋古代~中世を通じて唯一の女性歴史家とされる。
【訳者】
相野洋三(あいの・ようぞう):
1941年、神戸市に生まれる。関西学院大学大学院文学研究科博士課程(西洋史学)単位取得後退学、兵庫県立高校に勤務し、2002年退職後「ビザンツ帝国海軍組織の研究」により博士学位(歴史学)取得。著書に『モレアの夢ー中世地中海世界とフランク人征服者たち』(碧天舎、2003)、『続モレアの夢ーアテネからイスタンブル・近郊』(同、2004)。
(裏面:『近代ヒスパニック世界と文書ネットワーク』『貿易商人王』『銃後のアメリカ人』『デモクラシーという幻想』)
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